About the Center

センター長挨拶

2023年4月1日より、東京工業大学 科学技術創成研究院の傘下に、5番目の研究センターとして、多元レジリエンス研究センターが設置されました。本研究センターは、部局間や研究分野間を横断して多種多様な専門家の研究力を結集できるフレームワークの機能を有し、時間軸と空間軸の異なる多元的な災害(社会課題)を抽出して先手を打って対策に取り組み、有事・緊急の際には柔軟かつ早急に研究チームを組織できる体制を目指しています。また、地震、台風、豪雨、火山噴火といった古くから我が国が脅威に晒されてきた自然災害への対策研究を融合・強化させると共に、多元的な社会課題への対策研究における科学技術的基盤を強固なものとするため、科学技術創成研究院・未来産業技術研究所内の都市防災研究コアと、理学院・火山流体研究センターを組織的にも融合しました。

本研究センターは、社会課題即応研究部門、構造工学研究部門、火山・地震研究部門、防災医工連携研究部門の4部門から構成されます。常時は、この4部門を統括した「未来レジリエンス創造会議」において、研究担当理事、未来社会DESIGN研究センターや未来の人類研究センターと連携して、対策が不十分あるいは将来的に脅威となる災害(社会課題)とその対策に必要となる研究分野を抽出します。新たな課題への対策研究は、本学が世界をリードしてきた従来の防災関連研究の科学技術的基盤を活用しつつ、学内外の叡智を結集した研究チームを組織し、新たな研究ユニットを形成し、未来の安全・安心を目指した研究領域の創出に繋げます。これにより、多元的な災害(社会課題)に対して研究者の叡智を結集する器として、科学技術創成研究院のシンクタンク機能を強化します。さらに新たな学術領域での研究活動を通じて、未来の安全・安心を担う次世代の人材育成を図ります。

一方、これらと並行して構造工学研究部門と火山・地震研究部門は、地震や火山噴火などの自然災害への対策研究を、草津町や福島県などの地域との連携によって発展させ、中長期的な防災・復興への貢献を進めます。また、「未来レジリエンス創造会議」により4部門を統括・連携させることで、活火山や地震動観測といった自然災害科学に基づく予知と市民への周知、防災教育等の社会とのつながりを、産官学連携で進めます。耐震工学に基づく研究開発、および社会課題即応プロジェクトの喫緊な社会課題や未来の社会課題に対する研究成果の発信も積極的に行い、学術研究の成果を技術開発だけに留めず、新たなコンソーシアムを形成して自治体等を通じた社会実装への展開までを組織一体となって行い、科学技術創成研究院における社会貢献を加速させることを目指します。

本研究センターでは、従来の自然災害および将来的に脅威となる災害の抽出とその対策研究を先回りして実施し、多元的な災害に対しても人々の生活・健康を維持できることを目指したいと思います。今後とも皆様の本研究センターへのご協力をお願いいたします。

多元レジリエンス研究センター長
(東京科学大学 総合研究院・教授)

SHOICHI KISHIKI